多摩川クラシコ、チェルシー戦に勝利! 改めて感じた鬼木フロンターレのポゼッションサッカーの魅力

川崎フロンターレの試合を観たことのない方に楽しさを伝えるべく、鬼木フロンターレの魅力を改めて考察してみた。

「ボールを奪われない技術」

鬼木フロンターレのサッカーの魅力は大きく分けて「3つの技術」で構成されている。
まずは「ボールを奪われない技術」。フロンターレにはボールを保持する技術に長けた選手がたくさんいる。風間監督時代から「止めて蹴る」を突き詰めてきたフロンターレのパス回しは、常に相手の動きの裏へとボールを動かしゲームの主導権を握る。相手が奪おうと掛けてくるプレスをスルリと躱す様は観ていて痛快。特に注目すべきは大島遼太と家長昭博。この二人にボールが渡るとまず奪われることがない。彼らが相手選手をどうやってあしらい、ボールを保持するのかは見所のひとつだ。

「敵陣を崩しゴールを奪う技術」

2つ目は「敵陣を崩しゴールを奪う技術」
Jリーグ連覇を果してから、フロンターレ相手に自陣で守備を固めスペースを潰す戦い方をするチームが増えた。ポゼションサッカーで陥りがちなのが「ボールを持たされている状態」が続くこと。如何に敵陣を崩しゴールを奪うかもフロンターレ観戦見所の1つだ。
ただ闇雲にボールを動かすのではなく、パスで相手を動かし、出来たギャップから敵陣を攻略するには、技術だけでなくイマジネーションが要求される。昨年のホーム神戸戦の大島遼太が決めたゴールはまさにイマジネーションをチーム全体で具現化したものだ。フィールドプレーヤー10人で計34本のパスをつなぎ奪ったゴールは昨シーズンのベストゴールに選ばれた。ゴール自体も素晴らしいのだが、そこに至るまでのプロセス自体が観客を魅了する。

「ボールを奪う技術」

そして鬼木フロンターレに不可欠な最後の要素であり一番重要なのが「ボールを奪う技術」。具体的に言うと「取りどころの共通認識」と「ハードワーク」だ。
どれだけ能力の高い選手を集めたとしてもサッカーという競技において個人の力だけで相手ボールを奪取するのは不可能に近い。必ずチームの連動が必要になる。「どこで」「どうやって」「どのタイミングで」ボールを奪取するのか。「取りどころの共通認識」がチーム全体でできていなくてはならない。そして「共通認識」を実行するためには、選手全員の「ハードワーク」が必要不可欠になる。連動したプレス、ボールを失った瞬間の攻守の切替、誰一人サボること無く走り続ける。そんなフロンターレの「ボールを奪う技術」がよく分かるシーンが多摩川クラシコであった。後半69分の3得点目だ。

ソンリョンのゴールキックに小林悠がせり勝ち、こぼれ球を憲剛がフリック。相手最終ラインの裏を獲った齋藤学がキーパーと1対1に。欲を言えばここでゴールして欲しかったが、林のビッグセーブでボールは森重に。テレビ観戦していたサポーター全員が天を仰いで悔しがったことだろう。しかしその刹那画面左から白いユニフォームが二人フレームインしてきた。小林悠と阿部浩之だ。彼らはここで奪えるという共通認識の基、足を止めることなく詰めていた。見事ボールを奪取すると数本のパス交換で相手を翻弄し、足が止まったところで芸術的シュート。見事なゴールを奪ってみせた。そしてこのダメ押し弾で、残り20分を残し、相手の戦意をほぼ断ち切ったのだ。

ボールを失っても直ぐに奪い返し、華麗なコンビネーションや個人技でゴールを奪い、90分間ゲームを掌握し相手の戦意を喪失させ、圧倒的に勝利する。それが鬼木フロンターレの魅力だ。
夏に”走りきれるチーム”が優勝するのがJリーグ。川崎はそうやってリーグを連覇した。鬼木フロンターレの三連覇は「走りきった」その先に待っている。



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