もし自宅にネズミが発生したら、まず何をしたらいいのか。駆除するにはどこに頼めばいいのか。手探り状態で自宅を死守した夜20時からの奮闘記
奥さんから突然のLINE「ネズミが出た!」
朝から雨が降りとても寒い冬の日。
仕事を終え電車で帰宅途中に、奥さんからLINEが送られてきました。
まったく意味が理解出来なかった僕は、先日1歳になったばかりの息子のコスプレ写真を送る前フリぐらいに思っていました。
「あっ…コレはマジだ」やっと理解した僕は詳しい状況を聞きました。
息子をお風呂に入れ、リビングで着替えさせていると背後に気配が。何かと思ってキッチンを覗くとネズミと目があったそうです。
とりあえず避難してて。すぐ帰る
とだけLINEを送り、しばらくボーッと車窓を流れる景色を見つめていました。
「どうしよう…」
予想もしていなかった事態に頭が真っ白になり思考が完全に止まっていました。
なんでネズミ?どこから入ったの?どうすればいい?
我が家は築40年の鉄筋コンクリート造7階建マンションの5階です。妻と息子の3人暮らしですが、物が溢れているのが嫌いな夫婦なので家具は必要最低限のものだけ。掃除も隅々までとは言わないまでも、それなりにしていて決してネズミが出るようなゴミ屋敷ではありません。築年数は古いですが、マンション内でネズミが出たという噂を聞いたこともありませんでした。
何も解決策を見いだせないまま最寄り駅に着き、まず僕が考えたのが「自分で捕獲する」でした。目の細かい虫取りアミを買って帰れば、捕獲できないまでも家の外には出せるかもしれない。そう思った僕は帰宅途中にある100円ショップへ。しかし季節は冬。虫取りアミは夏季限定商品らしく取り扱っていないとのこと。他に役立ちそうな物はないだろうかと店内を見渡しましたが見当たらず、万策尽きた僕は自分で捕獲することを諦め、害虫駆除業社を探すことにしました。
その時点で時刻は20時を回っていました。
夜間受付けているネズミ駆除業社はあるのか
「ネズミ 駆除」と検索するといくつかのサイトが出てきました。
最初に出てきた会社に電話してみると、オペレーターに詳しい状況を尋ねられました。
・どれ位の大きさか
・出てきてからどのくらい時間が経っているのか
・潜入経路は特定できているのか
帰宅中で状況を把握していない僕は何一つ答えられずに、とにかく今夜中に駆除してもらいたい旨だけを伝えました。
- ご自宅近くで対応できる下請けが見つかり次第折返し連絡します
そう言われ不安な気持ちで折り返しを待っていると、20分ほどして着信が。
折返しを待っている間他のサイトにも連絡してみましたが、そのほとんどが下請け業社をいくつか抱えている仲介業社サイトのようでした。
今回駆除作業に来てくれた方も連絡した会社とは別会社の方でした。その方に聞いた話では害虫駆除は夜間作業がほとんどなので、深夜に連絡しても結構駆けつけてくれるケースが多いようです。害虫は日中じっとしていて、夜間に動き出すことが多いのでそれも当然ですね。この時間じゃ無理だろうと諦めずにまず連絡してみるのが大事のようです。
ネズミを自分で捕獲するのは不可能
業社への依頼を終えて、家に着いた僕は戦々恐々ドアを開けキッチンへ向かいました。
じっと目を凝らすと確かに何かいる気配が…
と思った瞬間、すごいスピードで移動するネズミを目撃。
全身に鳥肌がはしりました。
ドキドキが止まらず今すぐこの場を離れたいのに、動けないというか目が離せないというか。ネズミの移動速度は虫取りアミで捕獲できるよなものではありませんでした。
業社頼んでよかった〜
心からそう思いました。
幸い、奥さんの実家が徒歩圏内にあったので妻子はそちらへ避難させてもらうことにしました。
業社到着。駆除方法は粘着シート
22時を過ぎた頃、駆除業社の方(以後T氏とさせていただきます)が到着しました。
僕から簡単な状況説明を聞くと、T氏がまず取り出したのは粘着シート。
片面B5サイズほどでノートみたいに真ん中でパタンと折れる紙製のシートです。中面に粘着剤塗られていて、開いたものを床に敷き詰め罠にします。
正直、あまりに原始的というか単純な方法に少々拍子抜けしましたが、結局この方法しかないそうです。
また状況から考えて発生しているのはクマネズミだろうということ。とても素早く利口なので捕獲するには時間がかかる場合が多いそうです。
リンク
以下はT氏に教わったクマネズミの特徴と捕獲作業工程です。
1. まずキッチンとダイニングの境目に粘着シートを設置
ネズミは食料があるキッチンを中心に動き回るらしくまずその動線であるキッチンの入り口に置くのが効果的
2. この時点で料金の説明
今回ネズミ捕獲作業と侵入経路封鎖作業合わせて4万円でした。痛い出費でしたが決して高いとは思いませんでした
3. リビングダイニングにもフンを確認したので壁伝いにネズミを探しながらフンを撤去消毒していく
ネズミはかなり頻繁にフンをします。また必ず壁伝いに移動するらしく、フンは全部部屋のスミにありました。
4. ネズミの居所を絞り込みながら同時に潜入経路を特定していく。潜入場所と居所をキッチンに特定する
5. キッチンの排水口部分にわずかな隙間を発見しパテでしっかり塞ぐ
クマネズミは寒さに弱く暖かいところを好む。また壁を登ることも簡単にできる。その日はとても寒かったので温かい場所を求めて配管を登ってきたらしい。
6. キッチンにあるもの(食器や調理用具、食品など)を少しずつダイニングへ移動させネズミの隠れる場所をなくしていく
警戒心が強く危険を感じるとじっとして中々出てこなくなるのでこちらから追い詰めていくしかない
格闘すること1時間。
追い詰められたネズミはキッチンからダイニングへ移動しようとしたところを粘着シートに捕まって御用。
見事捕獲に成功しました。
やっと終わったはずが…最後の試練
ホッとした僕はT氏と世間話をしながら後片付けをしていました。聞けばT氏は自宅で爬虫類を何匹か飼育しているとのこと。ネズミや害虫も気持ち悪いとか怖いとか思ったことは無いらしく、この仕事も全く苦ではないらしい。なんて頼もしいタフガイなんだろうと思ったその時、T氏が何かに気付きました。
全く何も聞こえなかった僕。
T氏はネズミの足音を聞いたらしく、室内に再び緊張感が。そこからまた粘着シートを敷き直して捜索。まさかの複数犯。時刻はすでに24時を過ぎようとしていました。
T氏が見つけたのは数ヶ月前に購入したばかりのウォーターサーバーの中でした。背部の網目から入ったらしく中から出てくる様子はありません。
仕方なく2人で玄関から外へ出すと、T氏はサーバーを解体しはじめました。
衝撃の事実。見ると確かにシッポが3本確認できました。3匹のネズミの入ったウォーターサーバーを今後使う気がしなかった僕は、T氏とそのままサーバーを1Fのゴミ置き場へ。
日付も変わり、不測の事態の連続に疲労困憊の僕。
まだネズミがいる可能性もあるので、T氏には粘着シートを置いたまま帰ってもらうことに。
- 朝には残りのネズミも罠にかかってますよ。念の為シートは明日1日置いたままにしておいてください。後日取りに伺いますので
T氏が帰っていき、一人で簡単な後片付けを済ませると、疲れた僕は仕事部屋で寝ることに。ここ数時間の出来事と、フンまみれになった部屋の後始末のことを考えると中々寝付けませんでした。
早朝5時。
目覚めてキッチンへ向かうと何やらミューミュー鳴いている声が…
5匹目のネズミが粘着シートにかかっていました。
恐る恐るシートを閉じると「ギューッ」という断末魔が…
昨夜からの戦いがやっと終わりました。
その後
T氏に言われた通り、粘着シートは1日置きっぱなしにしておきました。その後ネズミも、新たなフンも出てきませんでした。
週末は2日間かけて部屋中の家具と床を大掃除&洗浄消毒しました。蒸気クリーナーを念入りにかけ、部屋中をアルコール消毒しました。キッチンの食品は全て破棄。食器なども念入りに洗浄後熱湯で消毒しました。
後日管理会社に確認するとネズミ発生の4日前に、マンションの排水溝で大規模なネズミ駆除作業を行ったとのこと。行き場を失ったネズミが、たまたま空いていた隙間から入ってきたようでした。
今回の件で学んだことは
・ネズミ駆除は自分ではできないので、必ず業社に依頼するべき
・早い段階での処理が重要なので、まずは連絡し来てもらうべき
ということ。もしあの時点でT氏に来てもらえてなかったら、侵入経路が空いたままの状態で5匹どころかもっと多くのネズミが侵入し、部屋中フンまみれになっていた事は間違いないでしょう。考えただけでゾットします。